―いねむり どくしょ―

毎日読んだ本の紹介と感想。気に入った本には★、とても気に入った本には★★をつけています。コメント・トラバはお気軽にどうぞ。
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★電気サーカス (唐辺葉介)
唐辺葉介
アスキー・メディアワークス
(2013-11-21)

JUGEMテーマ:読書
cakesというサイトで連載されていた長編小説(リンク先は『電気サーカス』紹介ページ)。
サイトの方では有料ですが番外編も読めるようです。

まだインターネットが今ほど普及していない、一部の人だけが23時からのテレホーダイを心待ちにしていた時代。
主人公の水屋口は日記系テキストサイトを運営している青年で、
育った家庭が崩壊したことをきっかけに大学を辞め、テキスト系サイトやら音楽やらの創作活動をしているネット上の知り合い達とアパートで共同生活をはじめる。
といってもそれは創作意欲に満ちた明るいルームシェアではない。酒・煙草・合法ドラッグ・無気力な退廃に塗れた後ろ暗い日々の連続だ。
やがてオフ会で真赤と名乗る中学生の少女と知り合い、彼女を共同生活の輪に加えたことをきっかけに、彼らの人生は様々に流転しはじめ――といったストーリー。


ダイアルアップ接続、テレホーダイ、ICQ、HTML、タグ打ち、テキスト系サイト、オフ会。
そんな単語にぐっとくる方、たぶんストライクです。
私はテレホーダイの最後ぐらいからネットを開始したので、小説の時代より数年後ではあるのですが、
同じようにテキスト系サイトを運営していたこともあり、とてもとても、痛い小説でした。
あの頃はテキスト系サイトの全盛時代でした。
数年後にはブログが広がり、タグ打ち職人の時代はあっという間に終焉を迎えたわけですが、
あの数年はテキスト系の住人達にとって何か特別な時代でした。
あの頃サイトを運営していた方々はみんなどこへ行ってしまったのでしょう?気づけばあっという間にいなくなってしまいました。
当時属していたテキスト系コミュニティの住人で今も続けている人を、私はほんの数人しか知りません。

小説を構成する他の要素。恋愛、セックス、リストカット、自殺未遂、いわゆるボダ(かまってちゃん)、酒、煙草、合法ドラッグ、無職、ニート、退廃、ルームシェア。
これらの背後にある薄暗さは、たぶん時代に関係なく、昔から形を変えてずっと存在するものです。
この小説を一言で表すなら、こうした普遍の要素に上記の特別な時代感を組み合わせて書かれた青春小説といったところでしょうか。

あまりの描写の濃さと長さに始終クラクラし、おまけに自分の経験とかなり重なる部分もあったので余計に苦しく、読んでいる間は主人公同様に鬱々とした日々を送りました。
どうして自分のことを書いた小説が世に出ているのだろうと訝しんだ程でした。
小説というより私小説に近いのではないかしら。オフ会の様子といい、真赤の繰り返す突飛な行動といい、リアルで胸に迫るものがありました。
それだけに最後のあっけなさには少々驚きましたが、悪くない読後感です。
テキスト界隈の賑わいはあっという間に消えました。
主人公の乱痴気騒ぎに満ちた青春もまたあっという間に終わり、現実という圧倒的な社会の中に否応なしに取り込まれてゆくのです。
それでよいのです。

青春小説という言葉で括るとあまりに陳腐すぎますが、
ですが大人になるということはなんという痛みを伴う行為でしょう。

あと数年もすれば、この小説と同じテーマを形を変えて書く人が現れるのかもしれません。
そこではテキスト系サイト管理人という言葉の代わりに、プロ生主とか、あるいは歌い手とか、そんな言葉が使われるのでしょう。
けれど、たとえ言葉は置き換わっても、テーマは永遠に変わらないだろうと思います。
いつもいつの時代も、それこそきっと百年前も百年後もずっと。
人生の中でほんの数年の持つ圧倒的な輝きと、その後ろにある大きな大きなブラックホール。
ひとは心に抱えた大きな暗闇の縁をやっとふらふら渡りきって、社会に出て行くのでしょう。
そうしていつか、かつて渡りきったブラックホールの存在を忘れると同時に、輝きも無くてしまうのです。


 
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