―いねむり どくしょ―

毎日読んだ本の紹介と感想。気に入った本には★、とても気に入った本には★★をつけています。コメント・トラバはお気軽にどうぞ。
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彼の女たち(嶽本野ばら、角田光代、唯野未歩子、井上荒野、江國香織)
江國 香織,井上 荒野,角田 光代,嶽本 野ばら,唯野 未歩子
講談社
(2012-04-13)

JUGEMテーマ:読書
 一発屋パンクバンド「ガーゼ・スキン・ノイローゼ」のボーカル、J。
へらへらしていて、どうしようもなくて、格好悪くて、だけど彼女たちはJに惹かれる。
風俗嬢、女子高生、えせ女子高生、OL。鮮やかな恋愛か憧憬、あるいはそれに似た何か。



「小説現代」に載ったリレー小説。書いているのは誰もが知る小説家たち。
短編とか連作とかって、いまいちな作品が多いように思うのですが、このリレー小説はなかなかなものでした。
ひとつひとつの短編を読みすすめるうちに、女たちの視点を通して描かれるJの姿が少しずつ見えてきて、やがて彼ら彼女らの物語が見事に交差していることに気付く、見事な仕掛けです。
巻末には作家たちの対談も収録されているのですが、その中にある通り、「いかに恋愛がその人本位か」がわかる、いい意味で怖い作品でした。

以下、それぞれ簡単に。


「プリンセス・プリンセス」(嶽本野ばら)
優等生の女子高生が風俗嬢として学費を稼いでいる時にJに出逢う。売れないバンドの爆音が、彼女の世界を変えていく。

ブランドやライブハウスなどの固有名詞の羅列が続いて、八十年代を知らない私はぽかんとしてしまったけれど、きっとその年代に青春時代を送っていた世代ならわかる世界なのだろうと思います。
風俗嬢として男たちのハッスル(この単語も八十年代的ですよね)を受け止めながら、一方で自分がハッスルできる世界を探していた主人公。
盛り上がってきたところで唐突に終わってしまってもったいなく思いましたが、他のリレー小説を読んでから改めて読み返してみると、これでいいのだと思わせる力のある作品でした。


「楽園」(角田光代)
クラスの序列の最下位で鬱々とした生活を送る、太った女子高生。Jに出逢った時から彼女は彼に恋をした。狂おしくも病的なまでに。

いちばん怖いと思った作品です。
彼女が見ているのは、現実ではなく、あくまで彼女が信じたいと思った世界。
Jは売れなかったし、殆ど無職みたいな生活を送るし、いろんな女とふらふら遊んでいる。
けれど、彼女はほとんど病的なまでに彼を信じ、働いて生活を支え、弁当を作る。
恐ろしいまでの作者の世界に、ただただたじろぎ、圧倒されました。
詩がまたうまいのです。これ、本当に曲をつけてアルバムにならないかなあ。


「17歳」(唯野未歩子)
八十年代のテイストが好きな女子高生が、まだ見ぬ父親を捜す物語。Jは自分の父親なのか、違うのか――?

彼氏や進路や家族のことで悩む等身大の女子高生を描いていて、いいなあと思いました。ふんわりした文章が「楽園」とは対照的で落ち着きます(偶然かもしれませんが、とてもいい作品の並び順だと思いました)。
彼女は八十年代を知らない、娘世代。自分の世代とほぼ同じだからか、すっと物語の世界に入ることができました。
ひとつ、どうでもいい難癖をつけると、ABCの隠語は私のような八十年代後半生まれの世代も知っていますよ。確かに積極的に会話では使わなかった気がしますが。


「All about you」(井上荒野)
年齢を偽ってセーラー服姿でライブに行くOL。彼女にとってJは、不倫相手との疲弊した関係の中で見出した安らぎだった。

読んでいてとても苦しかったです。ラブホテルで、セーラー服姿でしか関係を持てない不倫の二人。あてつけのように彼に会えない時にセーラー服姿でライブに繰り出す日々。
短編でよかった。長編だったら、きっと私は窒息してしまったと思います。
Jの復活ライブと葬式という組み合わせは、これ以上ない程にぴったりでした。


「テンペスト」(江國香織)
バンドが解散し、会社員になったJ。Jがパンクバンドのヴォーカルだったことなんて知らない、主人公の若いOL。
どこか会社になじめずにいる二人が「友達」になるのは必然だった。

もう少し長ければなあ!と思います。弟との親密すぎる関係、そしてJとの楽しい日々。ふたつの物語が交互に描かれるけれど、あまりつながりがないのが残念です。
Jはたしかに、「友達」の女の子が弟との関係に悩んでいたことなんてどうでもいいのだろうけれど、
それにしても三者三様の生きざまがもう少し重なり合うことがあれば、と思いました。
とはいえいつもの江國節炸裂で、するりと楽しめた作品です。



どの作品もさすがの出来で、詩や、巻末の対談も含めて、とてもお買い得な小説でした。
J、憎めないいい男です。
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コメント
from: FXと株   2012/05/28 4:28 PM
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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