―いねむり どくしょ―

毎日読んだ本の紹介と感想。気に入った本には★、とても気に入った本には★★をつけています。コメント・トラバはお気軽にどうぞ。
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★ヴィクトリア朝の暮らし ビートン夫人に学ぶ英国流ライフスタイル (Cha Tea紅茶教室)
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コメント:当時の絵などの資料も豊富で、おすすめです。

JUGEMテーマ:読書

 

ヴィクトリア朝の頃(19世紀)のイギリスの女性の生活の様子を、豊富な資料で解説した一冊。

 

当時、上流〜中流階級の家庭では、メイドなどの使用人を雇って生活することが一般的でした。

でも特に新婚の女性にとっては、まだ夫人同士の付き合いのマナーや家事の仕方もよくわからないまま、使用人を指示しまとめあげていくことは至難の業でした。

そんな時代背景の中で生まれたのが、『ビートンの家政本』(『ビートン夫人の家政読本』)です。

雑誌に連載されていたコラムをもとに、イザベラ・ビートンによって編集されたこの本は

料理のレシピから掃除のやり方、冠婚葬祭のマナーまで、ヴィクトリア朝の女主人が生活していくのに必要なありとあらゆる情報が掲載され、人気を博しました(その後何度も改定され、現在でも読むことができます。英語ですが)。

 

本書(『ヴィクトリア朝の暮らし』)は、この『ビートンの家政本』の内容を中心に解説しているため、主に中流階級出身の女主人の目線で当時の女性たちの生活を描いています。

結婚式やハネムーンにまつわるあれこれから始まり、新居の選び方、お茶の買い方(ティータイムが1日に何度もあるので)、友人の作り方や親交の深め方とそのマナー、当時流行っていた娯楽、教養の磨き方、クリスマスの楽しみ、そして妊娠・出産と、

新婚の女性の1年間を一緒に体験していくような流れのつくりです。

 

「19世紀」「イギリス」「ヴィクトリア朝」なんて単語だけ並べると、自分とは関係のない遠い世界の話のように思えますが、意外や意外、現代日本に暮らす私たちの生活習慣に大きな影響を与えたものがたくさんあります。

特にヴィクトリア女王! 彼女やその家族が初めて行った物事には、結婚式に白色のウェディングドレスを着ることや、クリスマスにツリーを飾ることなどがありますし、世界で初めて発行された切手に描かれているのもヴィクトリア女王です。

また、結婚式での「サムシングフォー」の習慣や、婚約指輪と結婚指輪を花嫁に贈るという習慣も、ヴィクトリア朝の頃に確立したとされています。

……ね? なんだか当時の社会が少し身近なものに感じられませんか。

 

他にもうひとつ、読んでいて特に興味深かったのが、当時の人気トップ10の紹介です。

『不思議の国のアリス』や『ジギルとハイド』といった、今でも読み継がれている本が何冊も登場します。

本書ではこのランキング以外にも、ディケンズなど多くの小説や戯曲からの引用も登場しますので、当時の社会背景が理解しやすくなっています。

 

 

ヴィクトリア朝やイギリスの歴史、特に文化史に興味のある方にとてもおすすめの一冊です。

当時描かれた絵などの資料もとても豊富で、しかもカラーページも多く、見ているだけでも飽きません。

巻末に年表がついているのも嬉しいですね。

『ビートンの家政本』は、英語で出されていて(私の知る限りでは)日本語訳は出ていませんし、原書も辞書みたいに分厚いので、日本語で簡単に内容を知ることができるという点も画期的です。

 

ただ、そもそもヴィクトリア朝とは? といった基本的な歴史解説はありませんし、

本当に『ビートンの家政本』の内容解説に特化した本なので、ネットや他の本で基本情報を軽く知った上で読んだ方がいいようにも思えます。「はじめの一冊」には向かない本です。

それと、本書は女主人の目線で書かれていますので、使用人が実際どんな暮らしをしていて主人たちのことをどう思っていたのか、ということなどは書かれてはいません。

ヴィクトリア朝のことを知りたいなら、使用人の立場からの解説本とセットで読むのがベストかもしれません。

★古代への情熱―発掘王シュリーマン自伝 (シュリーマン)
JUGEMテーマ:読書


カテゴリは迷いましたが、歴史系のカテゴリで。

シュリーマンといえば、高校の世界史などで習ったと思いますが、トロイを発掘した人です。
彼は決して専門の考古学者ではなかったのですが、多大なる情熱と忍耐力と財力とをもって、偉大なる発掘を成し遂げました。
もっとも専門家ではなかったため、彼の発掘方法には色々と問題点も多いのですが、でもまぁ、当時誰もが御伽噺だと思っていた古代の遺跡を実際に発掘して見せたわけですから、それだけでものすごい偉人だと私は思います。
この本は、そんなシュリーマンの自伝と発掘記です。



もっと前に読んでおくべきだった!
というのが、読み終わっての第一の感想です。
私自身も考古学が好きで、大学でちょっとかじったりしたので、シュリーマンの溢れんばかりの情熱に触れて、たまらない思いがしました。

幼い頃の夢を忘れずに持ち続け、コツコツとお金をため、自分の力で夢を実現するシュリーマン。
かっこいいなぁ!こういう人生、とても素敵だと思います。
作中のシュリーマンはひたすら素晴らしい人に描かれていて、ちょっと自画自賛しすぎなくらいです。でも、偉業を成し遂げたからこそ、自画自賛も出来るというものです。


考古学を志す高校生がいたら、是非今のうちに読んでおいてほしい本です。大学1、2年生の間でもいいかもしれません。
夢と現実との間で悩む前に、読んでおくべき一冊です。





∽―――――∽
◆古代への情熱 発掘王シュリーマン自伝
◆シュリーマン/著  佐藤 牧夫/訳
◆角川文庫  1984年
日本考古学の通説を疑う (広瀬和雄)
日本考古学の通説を疑う
歴史の教科書の記述が、実は古い定説だったり間違っていたり、事実を一つの側面からしか見ていない内容だったりする、ということを、私は大学に入ってから学びました(私、史学科なんです)。
この本は、そんな「定説」とされている日本史の、特に考古学の分野についての定説を検証した本です。

考古学界で今議論が熱い、弥生時代の開始年代についての記述から、縄文時代が本当に貧しい時代だったのか、古墳からみた国家論まで、古代に関する記述で構成されています。



うーん。個人的には、全体を通してちょっとピンと来ませんでした。

「マルクス主義の唯物史観」などといわれても、私は唯物史観自体、歴史学の歴史の中の1ページとして学習したものですから、そんな「歴史上のこと」が現代まで続いていると言われてもいまいち納得できないのです。
外国ならわかりますけれど、ここは日本ですからね。
現代が最高の時代で、過去は全て野蛮で未開であるという考え方自体、個人的には時代遅れだと思います。
その時代遅れな考え方を批判されても、何を今更という気がするだけでした。
……このあたりは作者さんとの年代の差から来るのでしょうか?


弥生開始年代についての新しい学説(従来の説よりも500年程弥生時代の開始時期が早まるとする説)については、この本が出る直前に発表されたということもあり、内容がちょっと薄いかなという気がします(私がこの問題に関する論文をある程度の数読んでいるためかもしれませんが)。
現在までに出されている主な反論を知るには足りませんし、筆者独自の見解があるというわけでもないのです。

その他の内容については、私が日本考古学には疎いためかもしれませんが、
納得したり、その通り!とうなずいたりしながら読むことが出来ました。


ただやはり、本全体を貫いている「発展史観」への批判については、個人的にどうしても何を今更という気がしてしまいます。
そのために全体を通して何かすっきり来ないまま読み終えてしまいました。

内容も、定説を疑うところで終わってしまうことがあり、肝心の筆者独自の新しい見解がぱっとしません。
もっと筆者独自の説を前面に押し出すなどすれば、読み応えがあったのではないでしょうか?


とはいえ、日本考古学の特に古代について、定説にどんな問題点があるのかを考えるきっかけにはなると思います。





∽―――――∽
◆日本考古学の定説を疑う
◆広瀬 和雄
◆新書y(洋泉社) 2003年
中国の海商と海賊 (松浦章)
中国の海商と海賊
中国の海商と海賊

ヨーロッパの海賊については、大航海時代にカリブ方面で活躍した海賊などを中心に人気があり、割合よく知られていると思いますが。
この本は、一般にはあまり知られていないアジア方面、特に中国の海賊と海商について扱った本です。


唐代から現在までと、取り上げている時代が幅広いので楽しめました。
倭寇だけじゃないんですね。
海商が、無事に交易を済ませられれば結構儲かる仕事だったこととか、
海賊の一部はその地域の地元民だったこと、それから海賊も海商も多国籍なメンバーから成り立っていたこととか、
知らなかったことが多くて勉強になりました。


その一方で惜しいと思ったことをいくつか。
まずは、せっかく海商の扱う交易品について細かく取り上げているのだから、海商の乗っていた船の方についてももう少し記述が欲しかったです。
船の写真はいくつか掲載されていましたが、それだけではなく大きさや形の変遷、速さがどのくらいだったのか、交易には何日ぐらいかかっていたのかなどなど、もっと知ることができたら面白いのにな、と思います。
それから、海賊についても同様に、どんな船に乗ってどのように船を襲っていたのかもう少し詳しい記述が欲しかったです。
風を利用した戦術については本文中で触れられていましたが、それだけでは寂しいです。せっかく有名海賊の名は多く紹介されているのに……。
もうひとつ、現代の海賊については通り一遍の紹介だけだったのが少し残念でした。

まぁ、「世界史リブレット」シリーズのひとつということで、限られたページ内で概説するのですから、難しいのかもしれませんね。
まだ研究の進んでいない中国海賊史について知るきっかけとしてはいいのかもしれません。





∽―――――∽
◆中国の海商と海賊 世界史リブレット63
◆松浦 章
◆山川出版社 2003年
★中国歴史研究入門 (礪波護 岸本美緒 杉山正明)
中国歴史研究入門
中国歴史研究入門


本来なら、「最初から最後まできちんと読みえ終えた本にだけ、感想を書く」というのがこのブログのルールなのですが。
この本に関しては、自分の研究テーマ(魏晋南北朝)周辺以外はたぶん読むのがとてもとても後になりそうなので、あえてルールを破って、全部を読み終えていない今の段階で感想を書こうと思います。



タイトルが示すとおり、中国史の研究入門です。
2006年に出たばかりなので、最新の研究成果まで把握できます。
各項目の執筆者も、第一線で活躍されてる先生方なので、安心して読むことができました。


卒論にちょうど良いと思います。
研究テーマにはどんなものがあるのか、読むべき文献は何か、史料はどんなものに当たれば良いのか、などが、各時代ごとにまとめられています。
文献史学の内容と石刻については、この本で用が足りると思います。

個人的には結構詳しいと思うのですが、どうなんでしょう? 修論でも使えるのかなぁ? 私はまだこの分野に分け入ったばかりの学生なので、よく分かりませんが。

あとは、中国史全体についての概説書についても、各本を比較しながら解説されていますので、漠然と中国史を読みたい方も、どの本を読めば良いか参考になりそう。


大学の講義などで、史料の探し方や基本文献については習うと思います。
でも、それ以上の文献についての解説や、使える検索サイトの紹介や書店については、やはりこういった本に頼るか、先生や院生さんに聞くしかないのではないでしょうか。
そういう意味で、この本は「使える」し貴重かな、と思います。

執筆者の個人的な好き嫌い・感想なども交えて書かれていて、割と飽きずに読むことができました。



最後に、文献史学についてはこの本で事足りるのですが、考古学に関する文献については注意が必要です。
後ろの方に考古学についての概説書は紹介されていますけれど、でも本当の基本文献程度にとどまっています。あとは『文物』『考古』といった各誌がある、程度。
各時代ごとの解説では、執筆者によって、考古学系の文献はあまり紹介されていないことがあります。
まぁ、考古学は考古学の研究入門を読め、ということなんでしょうね。

金石学・地理学などについても扱いは同様……の気がしますが、門外漢なのでよく分かりません。


それから、基本的に日本の研究者の業績が中心です。中国や欧米の研究者・業績も載っていますが、時代やテーマによっては少し不足かもしれません。



まとめると、中国史に関する文献史学がやりたい大学生にはオススメできる1冊です。それ以外のことをやりたい方は、参考にはなると思うけれど注意が必要です。





∽―――――∽
◆中国歴史研究入門
◆編/礪波護 岸本美緒 杉山正明
◆名古屋大学出版会 2006年
西域文書からみた中国史 (關尾史郎)
西域文書からみた中国史
「世界史リブレット」シリーズ10。

著者は中国史研究者としてよく知られた方であり、安心して読むことができました。
しかし、「リブレット」シリーズであるがゆえに、内容はまとまっているのだけど著者独自の意見がほとんど見られないのが残念。



西域文書、とくにトゥルファン文書や大谷文書、楼蘭出土の文書や簡籍から見た中国中世史は、近年研究が進んでいる分野で、この分野を研究したい学生や、周辺分野を学びたい方にはけっこう面白く読めると思います。


個人的には、納税証明書についての記述はなかなか興味深かったです。
はじめは証明書を書いてもらうことができたのは一部の富裕層だけであったこととか、証明書の用紙は農民が自分で調達しなければならなかったことなど、今では考えられないようなお話が満載。
けれど1500年以上の昔から、証明書というシステム・考え方が存在していたということには感心しました。


あとは、唐代の均田制の話も楽しく読むことができました。
学校では、男女や牛や奴婢(時代によって対象者は変わるけど)に与えられた土地の広さや税の種類を習っておしまいで、
さも中国全土一律に均田制を整然と実施していたかのような印象を持っていましたが、
実はそうではないのよね。
地域の実情にあわせて、法律の内容も変えられていて。
均田制って柔軟な制度だったのね、と驚きました。だからこそ長期間にわたって続けられたんでしょうね。



全体を通して読みやすくわかりやすくて良かったです。
納税証明書の起源などについては、今後の研究に期待かな?





∽―――――∽
◆西域文書からみた中国史 世界史リブレット10
◆關尾 史郎
◆山川出版社 1998年
東南アジアの建国神話 (弘末雅士)
東南アジアの建国神話
東南アジアの建国神話
弘末 雅士


かなり前に読んだので、記憶が薄れつつありますが、「世界史リブレット」シリーズの中の1冊。


東南アジアといえば、熱帯に属していて、多くの国が混在していて、そしてかつて貿易で栄えたわけで。
この3つの要素を基にした建国神話が生まれた、というのには納得がいきます。

前半は、主に港市国家の建国神話について書かれています。
それと同時に
 港市が貿易で栄える
  ↓
 後背地との関係強化(内陸産の商品を売買したから)
  ↓
 後背地に「土着民」神話が生まれる(自分たちの正当性的を主張しだす)
みたいな神話の流れについても説明されていて、なかなか面白かったです。
ライフスタイルの変化に合わせて、神話の内容も変わっていくのですね。


欧米勢力が侵入してきた後のことについても少し触れられていますが、基本は中世に生まれた神話のお話。
神話の内容については、もちろん詳しく書かれていますが、
神話の成り立ちというか、出来方についての説明もされていたのが良かったです。神話の解釈を試みた本は多いですが、成り立ちについて書かれたものは多くないと思うので。

「リブレット」シリーズで、短い内容ながらよくまとまっていて良かったです。





∽―――――∽
◆東南アジアの建国神話 世界史リブレット72
◆弘末 雅士
◆山川出版社 2003年
★長安の都市計画 (妹尾達彦)
長安の都市計画
長安の都市計画



唐の長安といえば、その昔、数多の人が夢見た憧れの地。
その長安の都市構造について、とても平易でわかりやすく解説した本です。

もうとにかく読みやすい!
冒頭は旅行記風、途中小説風の部分もあり、最後は随筆調。とにかく趣向が凝らしてあって、飽きません。しかも内容はしっかり厚みがあるので、変な言い方ですが「お買い得」でした。


まず、本書のはじめのほうに書かれた、唐と、ほぼ同時期に形成されたコンスタンチノープル、バグダードとの比較はとても興味深く読みました。
「都市のつくりが街ごとに違うのは、それぞれの都市に込められた意味合いが違うためだ」という視点が私にはとても新鮮で。

 1:支配者の正当性を示すために、宇宙論を強調→人工的なつくり
 2:支配者の正当性を示す必要がない→地形と利便性に合ったつくり

という説明も、理にかなっていて納得できました。
唐も後期になると、より住みやすい街へと改造されていく、という話が、本書の後半に述べられているのですが、上の「支配者の正当性を示す必要性の有無によって都市計画が変わる」という説に合致していて、
ひとつの都市の中でも、支配者の方向性が変わると街全体が変わるものなのかと驚きました。面白いものですね。


長安が宇宙の都として設計された、と本書は何度も語っています。
日本の平城京は長安を模してつくられた都市ですが、果たして平城京も宇宙の都を目指してつくられた都市なのでしょうか?
その答えは残念ながら本書からは得られませんでしたが、東西文化の比較方法のひとつとして研究するのも面白そうです。



巻末の読書案内もていねいに書かれていて、本当に読んでよかったです。
都市については、もともと別段興味があるわけではありませんでしたが、読めば読むほど興味が増していきました。研究に対する筆者の愛が伝わってきたからかな?
とてもオススメな1冊です。





∽―――――∽
◆長安の都市計画
◆妹尾 達彦
◆講談社新書メチエ 2001年
マヤ文明 (クロード・ボーデ/シドニー・ピカソ)
マヤ関連本には色々な種類がありますが。
この本は、「西洋人たちのマヤ征服の歴史」という視点から書かれた一冊です。


マヤとは、メキシコ南部を中心に9世紀頃まで栄えた文明です。
時は流れて16世紀、マヤ文明は廃墟と化し、現地の人々も昔何があったのか忘れかけた頃。
スペイン人ら西洋人がマヤの地を発見し、征服と探検をはじめます。

その「征服と探検」の過程で、どんなひとたちが活躍し、何が起きたのか。
また、マヤの遺跡が単なる略奪の対象から、保存の対象へと移り変わるにはどのような経緯があったのか。
以上の二点について、写真やイラストをたくさん使って、わかりやすく解説しています。



マヤ文字解読までのエピソードは爆笑モノでした。
あの不可思議な魅力に満ちたマヤ文字の模写がたくさん載っているのですが、明らかに下手すぎで。
っていうか、捏造しすぎ!
ゾウとかエジプトの神聖文字とか、ありえないモノが模写されてます。
当時のヨーロッパ人たちの歴史認識みたいなものがうかがえて面白かったです。アジアも南アメリカも一緒とは……(笑)
その「ありえないマヤ文字」が、正確なマヤ文字の模写に変わっていく様子には感動すら覚えました。



マヤに少しでも興味のある方なら楽しめるのではないかな?
「知の再発見」双書のシリーズから出ているので、写真や絵の豊富さと読みやすさはたぶん類書の中でも群を抜いているのではないかと思います。





∽―――――∽
◆マヤ文明――失われた都市を求めて
◆クロード・ボーデ/シドニー・ピカソ/著  落合 一泰/監修
◆創元社「知の再発見」双書
(2004.11.28)
東アジア文化圏の形成 (李成市)
東アジア文化圏の形成
東アジア文化圏の形成


「世界史リブレット」シリーズ7。


ニュースなどでも時々耳にする「東アジア」という表現は、どこの国が含まれているのか、実はとてもあいまいな言葉です。
本書はそんなあいまいな「東アジア」について、西嶋定生氏の説を軸にしながら、交流史を中心に描いています。



西嶋定生といえば東洋史の大家ですが。
彼の説も所詮は日本を中心にした地域史論にすぎない、という筆者の意見はもっともで。
日本史を中心に据えて東洋史を考えるだなんて、そりゃ「大東亜共栄圏の考え方と何が違うんですか?」と聞かれてもしょうがないなぁ、と納得。
が、そこから先の論の展開が薄いです。
どうせなら西嶋定生の説に代わる、新たな東アジア世界論を打ち立てればいいのに、それがないからつまらない。
この本だけでなく「リブレット」シリーズに共通して言えることですが、筆者の独自の意見が非常に少なくて、
わりと公平な観点から歴史を学べる半面、物足りなさを感じます。
薄い本ですから仕方ないんでしょうけどね……。



その他の点については楽しく読み進められました。
特に漢字文化の伝播の仕方についてとか。
漢字が中国から来た文化であると学校では習いましたが、実はそうでもないそうで。
新羅の碑文の内容とかを検討し、日本との類似点を指摘している箇所なんかはすごいすごい、とわくわくしながら読みました。


そんな感じ。
とにかく独自性がない点以外は、読みやすいし面白いしで良かったです。





∽―――――∽
◆東アジア文化圏の形成
◆李 成市
◆山川出版社

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